「タンク、2.5リットルしか入らないんだ」
リアシートに積んだ携行缶から、
慣れた手付きで給油するオジさんを見かけ、
思わず話しかけた。
「このダックスって何年式ですか?」
「95年の再販モデル」
「じゃあボクがよく見かけていたのは初期のですね」
「オリジナルは6ボルトだから、いろいろ面倒でね」
6ボルトだと何が煩わしいのか、
ぜんぜん分からないので曖昧にうなずく。
「あんたのはけっこう新しいの?」
「いや。もう20歳を越えました」
「ずっと乗ってるの?」
「いえ。今年からです」
若い頃から時間を見つけては北海道へ上陸。
いろんな所を走ったが、まだ飽きないという。
今年は道東以外を3週間ほどで走るらしい。
それだけのことはあり、
いろんなスポットや道をよくご存知で。
はからずも会話が弾んだ。
「もう70越えたから、いい加減にしなきゃと思いながら、
なかなかやめられないんだよね」
旅人のその笑顔に心を射抜かれた。
スゴいな。
カッコいいな。
こんなふうにオレもバイクに乗れるだろうか?
散歩の帰り、自分に問いかけた。