ドネアは明らかに誘っていた。
対するガバリョはその勝利の方程式を崩すべく挑んだ。
なにで競うのかはどうあれ、
達人と呼ばれる領域の人は、
勝つために欠かせないスペシャルな技というか、
パターンのようなモノを持っていて。
今回のドネアとガバリョの試合は、
そういう素晴らしい技の応酬で彩られていた。
そして、結果的に勝者となったのはドネアだった。
左右のガードや肩の位置などを駆使したフェイントや、
相手との距離や向き合い方を絶妙にコントロールし、
パンチを引き出してカウンターを合わせる。
それは、誰もが知るドネアの必勝パターンであり、
それを極めたことで、
彼はレジェンドと呼ばれるまでになった。
ガバリョはそのスペシャルなカウンターに、
さらにカウンターを合わせるという、
超ハイリスキーな戦術を選択。
終わってみれば4RでのKO。
それだけを見ればドネアが若き無敗の挑戦者を、
いとも簡単に仕留めたように見える。
だが、ボクにはこの試合がとても濃密で、
ヒリヒリとする緊張感に満ちた接戦に思えた。
勝者と敗者を分けたのは、
攻防の総合的な戦闘力であり技術力であるのは当然だが、
今回の試合はそれに加えて、
覚悟とか勇気という精神力の差だったように、
思えてならない。
ウーバーリ戦の後に書いた。
「ドネアは今が全盛期」と。
その思いは今回の試合でさらに強くなった。
しかし、生ける伝説ドネアであっても、
身体能力の衰えは不可避(なはず)。
それを補うためにドネアは、
勝負どころでの倒し方を突き詰め、
それを逃さない勇気と集中力に磨きを掛けているのでは。
ガバリョは勇猛果敢だった。
肉を切らせて骨を断つ勇気も持っていた。
だからこそ、2人の闘いはただならぬ緊張感が溢れていた。
でも、ドネアは骨を切らせて命を絶つ覚悟で、
ガバリョを退けた。
それはけして「一方的」でも「楽勝」でもないと思う。
それにしたっての「快勝」。
あっぱれとの言葉以外、見つからない。
我らがモンスター井上尚弥との相思相愛は、
WBSSでの対決以来、変らず続いているようだが、
同級WBO王者、『黒いヒヨコ』カシメロが、
体調不良でタイトルマッチをキャンセル。
統一を賭けた闘いはますます混迷の一途。
「最強は誰だ?」
「その称号を得るにふさわしい相手は?」
選手本人や観衆の想いはさておきが、
プロモート界の常識なのだろうが、
ドネアはもちろん井上にも持て余すほどの時間は無い。
「モンスターVSレジェンド2」が観たいのはやまやまだが、
大人の事情で叶わぬのなら、先へと進むのもひとつ。
なんにしても、呆れるほど強い。
ドネア、強いわ。