並々ならぬ決意あってのことだろうとは思う。
韓国の尹錫悦大統領が目指す日韓関係の修復案は、
当然のことながら大きな波紋を呼んだ。
韓国の国内だけでなく、日本でも、だ。
尹大統領の覚悟は伝わってくる。
だが、それを、諸手を挙げて歓迎する日本人は、
けして多くないだろうと思う。
過去の歴史認識問題において、
両国間に大きな認識の差が立ちはだかっている。
過去にあった植民地支配について日本は、
基本的に日韓請求権協定とその後の謝罪で、
すでに解決済みであると考え、
韓国はそれでは不十分と考えている。
「最終的かつ不可逆的に解決される」と、
世界に向けて宣言した。
しかし、文在寅が政権を握ると一転、
その合意を反故にし徴用工問題も再燃させ、
日韓関係は戦後最悪と言われる状態に落ち込んだ。
「日本との良好な関係」や、
「安全保障や経済の発展のため」との韓国側の言葉を、
つい、友好的な関係を望んでいると思いがちだった。
そして、友好的であるということは、
戦時中から現在に至るまでの両国間の問題をリセットし、
新たな関係性を築くのだと思いたくなる。
でも、韓国はそんなことは微塵も考えていないと、
今は思ってしまう。
韓国側が言う日本との良好な関係とは、
「韓国の安全保障や経済発展のために」必要なモノを、
「韓国が望むタイミングと規模」で、
「日本が無条件提供する」ことなのではないか?
で、彼らは、それが正当だと心底信じているし、
それを実現するためにさまざまな方策を練り、
シグナルを送っているのだと思ってしまう。
尹錫悦大統領が提示した修復案の柱は、
おおむね次のようなもの。
「韓国最高裁が2018年秋に命じた、
日本企業2社の賠償支払いを
韓国政府傘下の財団が肩代わりする」
肩代わりとの文言に、
ボクは強い警戒感を持たずにいられないのだ。