「キライな言葉は?」
NHKの「SONGS WRITERS」に出演した際、
簡単なアンケートで尋ねられて、
Mr.Childrenの桜井和寿は言った。
「難しい問題だよね」
インタビュアーだった佐野元春が一瞬迷い、
「あぁ! 諦めてる感じ?」と確認すると、
「そうです」と答えた。
たったそれだけの短いやり取りではあったが、
その言葉が今でもボクの胸に刺さっている。
答えを出せない、
もしくは、出したくない時に使っている。
しかも、軽々しく。
信仰や政治などあらゆる主義主張をはじめ、
果ては食べ物の好き嫌いを例に挙げるまでもなく、
世界はややこしさで溢れかえっている。
いや、世界はむしろ、
それらのややこしさあってこそ成り立っている。
「難しい問題だよね」
この言葉はそんな世界の有り様を、
見事に言い表しているし、
それを口にすれば、
何かがひとまずは落ち着くように思える。
だけど、その言葉と、それを発する心理状態は、
ボクをどこへも連れて行ってはくれない。
「『難しい問題だよね』って言葉がキライ」
たったその一言にボクは、
最も弱い部分をひと突きされた。
さすがだなぁと、今でも思う。