「どういう風の吹き回しよ?」
おいしいラーメンを食べて上機嫌だったKYSの顔が、
ちょっと厳しくなった。
この後はあとはホテルまで、ずっと大きな国道を走る。
なので、バイクを交換して走ってみないかと、
ボクが言ったからだ。
「この先クルーザーに乗ろうなんて、
まさか思ってないよな?」
KYSが即答しないのは、
ボクが他人とバイクの貸し借りをしないことを、
知っているからだ。
「クルーザーへの乗り換えは無いね。
お前が惚れ込んだバイクに乗ってみたいだけ」
「やたら重くて遅いぞ」
「怖かったらすぐに戻してもらうよ」
コンビニの駐車場で、
互いのバイクのクセなどを説明し合って再出発。
信号で停まるたびに、
ヘルメットのシールドを上げ、
あれこれ確認しながら宿までの約70kmを走った。
ホテルのそばのコンビニで、
酒と肴をたんまりと買い込み部屋へ。
温泉を楽しみ、
レストランで夕飯を食べつつ飲み、
部屋でさらに飲みながら、
今回のコース全体やお互いのバイクの印象を話した。
「予定を組んでいる時は、
これならたんまり走れると思ってたが、
過ぎてしまえば一瞬だな」
良い感じに酔っ払ったKYSが言う。
「まだ走り終わってねぇし、
9月の北海道ツーリングまでだってすぐだ」
明日、ボクはフェリーで北海道へ向かい、
KYSはバイクで神奈川へ向かう。
そして、またしばらくは、別々の道を走る。
※本日の走行距離は約210km