Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

ハンパない既視感

撮影:萩原悠久人

昨夜の中谷潤人のKOシーンを観て、

既視感にとらわれた。

 

WBCバンタム級世界タイトルマッチは、

王者の中谷潤人が同級1位のビンセント・アストロラビオに、

1R2分37秒でKO勝ち。

 

鬼門と言われる初防衛を、

あっさりとクリアした。

 

それが2018年10月のWBSS1回戦で、

井上尚弥がフアン・カルロス・パヤノを、

ワンパンチKOした試合と重なった。

 

この目で目撃していながら、

あまりにも圧倒的な強さを前に、

現実として受け容れられない。

その違和感が驚くほど似ていた。

 

中谷が強いのは知っている。

だが、心のどこかでは、

井上尚弥ほどではなかろうと思っていた。

思っていたかった。

 

でも、昨夜の中谷の試合を見て、

その思い込みが霧散した。

 

彼はネクストモンスターではない。

すでに怪物なのだ。

 

「最終目標ではない」

 

試合後の会見で井上尚弥との対戦について質問され、

中谷はそう答えた。

 

彼にとって井上尚弥は怪物ではなく、

同じ地平に立つ1人のボクサーなのだ。

 

2人がリングで拳を交える瞬間が頭をよぎり、

思わず鳥肌が立った。

 

中谷潤人選手、初防衛おめでとうございます。

背筋が凍るような試合を、

ありがとうございました。