「前期はかなり利益が圧縮されてますね」
金融機関の担当者は決算書を見ながら言った。
「詳細不明な保証金とか回収不能な売掛とか、
ちょっと整理したんだよね」
「なるほど、なるほど。
でも、なんでこのタイミングですか?」
そう訊かれて、さすがだなと思った。
「2期前、3期前はもっと利益が出てたので、
そのタイミングでも良かったのかな、と」
代わったばかりの担当者はかなり若い方だが、
しっかりと見ている。
「大きく利益が出た時に派手に消し込むと、
怖い方たちが指導しに来るでしょ?」
「確かに、そういう話しを聞きますね」
「でも、それは言い訳で、
実際は内容を把握し切れてなかっただけ。
もっとちゃんとしなきゃダメだよね」
長年勤めていた財務会計担当者の退職など、
それらしい理由はあれど、
言い訳にはできない。
「恥ずかしながら、
ボクらの業界でも似たようなことが起きます。
これからはそういう事も含めて、
ぜひご相談下さい」
今回も良い方が担当になって下さった。
ありがたい。