Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

哀しい気持ち #2

2週間後に迫った中学3年の同窓会について、

一緒に幹事をしているTMKと電話で打合せ。

 

声が落ち込んだ感じだったので、

ちょっと気になっていたが。

 

「実はHMDさんが亡くなられたらしいの」

 

この数年、

ずっと連絡が取れなかったと聞いてはいたが・・・。

 

「そっか」

 

「詳しくはお聞きできなかったんだけど、

 ご病気だったらしいのね」

 

HMDは学年で1,2を争う優秀な女の子で。

だけど、堅苦しさは微塵もなく、

よく冗談を言ってはニコニコ笑う子だった。

 

彼女は毎日パンパンに膨らんだカバンで登下校しており、

ボクはそれについて質問をした。

 

「それ、何が入ってるの?」

 

「何って、教科書だよ」

 

「え? 毎日持って帰ってるの?

 もしかして全部?」

 

「うん。教科書って持って帰るモノよね?」

 

彼女はイタズラっぽい顔で、

いつものように右手を口元に添えて笑った。

 

「オレはいつも机の中に全部入れてる」

 

「それなのに授業中も教科書を開いて無いよね」

 

そんな話をして笑い合ったことを思い出し、

とても悲しくなった。

 

「いつもながら辛い役割をさせてしまって申し訳ない」

 

詫びるボクにTMKが言う。

 

「今回の同窓会はHMDさんの導きかもね」

 

その言葉にただうなずくしかなかった。