2週間後に迫った中学3年の同窓会について、
一緒に幹事をしているTMKと電話で打合せ。
声が落ち込んだ感じだったので、
ちょっと気になっていたが。
「実はHMDさんが亡くなられたらしいの」
この数年、
ずっと連絡が取れなかったと聞いてはいたが・・・。
「そっか」
「詳しくはお聞きできなかったんだけど、
ご病気だったらしいのね」
HMDは学年で1,2を争う優秀な女の子で。
だけど、堅苦しさは微塵もなく、
よく冗談を言ってはニコニコ笑う子だった。
彼女は毎日パンパンに膨らんだカバンで登下校しており、
ボクはそれについて質問をした。
「それ、何が入ってるの?」
「何って、教科書だよ」
「え? 毎日持って帰ってるの?
もしかして全部?」
「うん。教科書って持って帰るモノよね?」
彼女はイタズラっぽい顔で、
いつものように右手を口元に添えて笑った。
「オレはいつも机の中に全部入れてる」
「それなのに授業中も教科書を開いて無いよね」
そんな話をして笑い合ったことを思い出し、
とても悲しくなった。
「いつもながら辛い役割をさせてしまって申し訳ない」
詫びるボクにTMKが言う。
「今回の同窓会はHMDさんの導きかもね」
その言葉にただうなずくしかなかった。