
死刑廃止論がいっそう強まっている。
先日、無罪が確定した袴田さんのケースは、
逮捕から実に58年の歳月を費やして、
ようやく司法が潔白を認めた。
その他の事例を見ても、
被告が冤罪を証明する困難さと、
刑事司法の不完全さは明らかだ。
それでもボクは、
死刑廃止を声高に主張することをためらう。
それは、死刑そのものの是非はもちろん、
「先進国ではほぼ廃止。野蛮で残酷だ」との枕詞で、
その正当性を主張する人たちへの嫌悪が、
多分に含まれている。
処罰感情はその国の文化風習と深く結び付いており、
海外諸国の論理や圧力で、
安易に変えるべきでは無いと思うのだ。
2022年の統計によれば、
世界各国の人口10万人当たりの殺人発生件数において、
日本は152カ国中148番目と極めて低い。
殺人事件の発生率が少ない国だからこそ、
殺人という罪に対して重罰を望む。
または、その逆かも知れないが、
そうした事実を抜きにして、
「野蛮で残酷」「非人道的」と一方的に批判するのは、
あまりに傲慢ではないか?
他方で、法律で個人の殺人を禁じていながら、
その法律で国家による殺人を認めることに矛盾を感じる。
さらに、無差別殺人犯などにみられる、
死刑を望んで犯行に及ぶ人間には、
死刑が懲罰ではなく報酬となってしまう現状を鑑みると、
凶悪犯罪抑止に繋がるとの考えも破綻する。
その他にも死刑にまつわる疑念は尽きない。
死刑は被害者や遺族の救済につながっているか?
被害者感情が量刑に影響して良いのか?
何より、98%前後と異常に高い日本の有罪率にあって、
冤罪の可能性を排除できるか?
「で、結局のところ、お前はどっちだ?」
そう問われると、
諸外国や先進国の在り方はどうあれ、
ただただ答えに窮する。