Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

ようやく

映画「PERFECT DAYS」を観た。

 

噂に違わず、素晴らしい作品だった。

 

「もっと具体的に」と訊かれれば、

何がどう素晴らしいのかを説明するのに窮する。

そのくらい、特別な事件や事故は何も起こらない。

 

築50年以上の風呂なしボロアパートで暮らし、

晴れの日も雨の日も、

ほぼ同じように規則正しく生活する。

都会の公衆トイレの清掃人として働く男の毎日を、

名匠ビム・ベンダースが描いた作品。

 

華やかさや刺激からはほど遠く。

今どきに表現すれば「負け組」や「底辺」の人の、

代わり映えのない日々。

だが、主人公の男は終始楽しそうで。

 

その「何も無い」と思われる日々と、

そこに楽しみと幸せを見出だせる男こそが、

「特別」であるという仕掛け。

 

伏線が複雑に絡み合った脚本も、

凝ったCGもほぼ皆無。

シンプルで筋の通った脚本と、

それを表現する俳優たちの演技と映像で真っ向勝負。

だけど、退屈なんてまったくなく、

むしろ2時間ずっと惹きつけられまくり(笑)

 

グラン・トリノ」「カポーティ」を観た時と似た、

得も言われぬ充足感を味わった。

 

映画は映画館で。

この作品は、なおのことそう思わせてくれた。

できれば、平日の昼頃のガラガラの映画館で、

ひとりっきりで観たかったなぁ。