
「なんでゴルフって名前なのかしらね」
代車がフォルクスワーゲンだと知って、
おふくろは興味を持ったようだ。
「スポーツのゴルフじゃなくて、
すごく大きな海流の名称らしいよ。
ヨーロッパに穏やかな気候を運ぶんだって」
「ワーゲンって言ったら、
あの丸っこいのしか思い浮かばないけど」
「ビートルね。
それに次いでワーゲンを象徴する名車だよ」
おふくろは曖昧に頷いて、
まだクルマの話題を続ける。
「ワーゲンってね、
なんだろう、
もっと大衆車っぽい感じかと思ってた」
「そうね。
フォルクスワーゲンって社名そのものが、
ほぼ大衆車って意味だから、
その感覚は間違えてないよ」
「でも、あれって高級車じゃない」
「まぁね。
あれほどじゃないけど、
今は、国産の軽自動車だって、
昔の高級車並の装備だから」
おふくろは思うことがある様子で言った。
「クルマのことは良く分からないけど、
私はあの軽自動車の方が好きだわ」
「あはははは。
心配しなくても乗り換えないから大丈夫。
いや、経済的に乗り換えられないから」
ゴルフのおかげで話が弾んだ朝だった。