
「良かったら一杯やろう」
昼前に先輩からのメールが入った。
ちょっと疲れ気味だが、
以前から約束していたので出かけた。
「このビアガーデン、今日で終わりだからさ」
先輩はしみじみと言う。
「あの子が立ち上げた企画だからな。
最初と最後くらいは顔を出さなきゃって」
先輩の娘さんはイベント中の事故で亡くなり、
先日三回忌を終えたばかりだ。
「親子揃ってのイベント好きだもんね」
かける言葉が見つからず、
ボクは的はずれなことを言ってしまう。
「たくさんの人から弔問や花を頂いて、
ほんとにありがたいんだけど」
先輩の言葉はそこで途切れ、
その後しばらく沈黙が続いた。
献杯をして飲んでいると湿った風が吹きはじめ、
町を囲む山の麓では雨が降っているのが分かる。
北海道の短い夏が終わろうとしていた。