
「毎回思うんだけどさ」
YKOさんは不機嫌な声で言った。
「わざわざ集まる必要あるのかね?」
今夜は地元団体の会議。
今年は役員改選期であり、
それに伴った事務的な説明がされる。
「そもそも役員を受けた記憶がまったく無いのに、
今回も有無も言わせずの留任だから」
「いつからか事前の根回しすら無くなって、
強制指名になったんですよ」
ボクはあきらめ半分で言う。
「でも、それって、この町あるあるで。
ほぼいろんな会がそのやり方で成り立ってますよね」
「そんなことないべや」
YKOさんの怒りは収まらず、
しばらく罵詈雑言にお付き合いした。
「ま、飲み会無しの夜会議はひさびさなので、
帰りに一杯やりましょう」
ボクが切り上げようとするとYKOさんが言った。
「お、いいな。
そん時に今度のイベントの実行委員会の話しよう」
電話を切ってから大きくため息をついた。
だって、その実行委員会にいつ入ったのか、
ボクにはまったく記憶に無いのだから。