選挙が終わる。
おそらく、ほとんど何も変わらない。
安倍が強いのではなく、野党が弱いだけ。
2年前かな。
渋谷陽一はその構図をとても端的に言葉にした。
有権者が今、求めているのは
「安倍政治が嫌だ」という話ではないんです。
新しい政治的なビジョンに投票したいマグマが渦巻いているのに、
その受け皿がない状況です。
音楽の世界にたとえれば、
ずっと演歌を歌い続けている自民党に対して、
民進党は「もう演歌は古い」と叫びながら
古いフォークを歌っている。
ビートルズやサザンオールスターズが登場すれば
一気に席巻できるのに、
それが出てこないので、
誰もが欲求不満な状態なんです。
理想主義を持った政治家がいます。
正義感と理想主義が政治の基本エネルギーと
なるべきものではないでしょうか。
「LOVE(愛)、PEACE(平和)&FREE(自由)」。
ロック音楽が体現するような価値観は有効だと思います。
「安倍1強」と言われてきましたが、
国政選挙の投票率は50%程度で自民党への投票はその半分以下。
つまり全有権者の25%も支持していない。
安倍政権が力を入れる原発再稼働や
安全保障関連法、共謀罪法にも「NO」が多い。
それにもかかわらず、
野党のメンバーが「YES」の理想を語る勇気を持っていない。
野党が有権者の共感を得られない大きな原因はそこにあります。
国政にいた時の保坂氏は「安倍NO」と掲げるような
古い政治的な言語に束縛されて窮屈そうでした。
しかし、世田谷区長になって「せたがやYES!」と
肯定的なメッセージを打ち出し、可能性が花開いた。
世田谷区政は、音楽で言えば「インディーズ・シーン」ですが、
「メジャー」にあたる国政でも、
理想主義の志を持った政治家たちが挑戦を始めれば、
一気に変わっていくと思います。
僕は昨秋発行の「SIGHT」の表紙に
「70年間戦争しなかった日本にYES」と書きました。
日本は勤労意欲やモラルが高く、
何よりも平和を愛している理想主義的な国民です。
ちゃんとしたメッセージを出せば届く。
それは世田谷の例を見れば明白です。
(聞き手・南彰)
しぶや・よういち 1951年生まれ。
72年、音楽批評誌「ロッキング・オン」を創刊。
99年、総合誌「SIGHT」を創刊。
著書に「ロックは語れない」など。
引用元:朝日新聞
生前、忌野清志郎は言った。
「選挙に行かなくてもいいとか言ってると、
君たちの息子が戦争に行ったりするんだ」
確かに、そう思う。
でも、今は投票していても、
知らないうちに戦争が起こりそうな気がする。