HDOとの楽しい時間は、
予想を上回る速さであっという間に過ぎてしまった。
「申し訳ないね」
自宅が遠いからこんな時間でと詫びるが、
HDOはすでにけっこう酔っている。
ボクがほぼノンアルコールだったので、
その分HDOが飲む量が増えたのもあるし、
疲れも加齢ももちろん無関係ではない(笑)
「今日はありがとう」
手を握ってHDOが笑う。
「またね」
ボクが手を振り別々のホームに向かう。
年末の混んだ横浜駅の雑踏に、
互いの姿はすぐに紛れ込んでしまう。
寂しさを紛らわすように音楽を聴きながら電車を待つ。
シャッフルに設定しているiPodから偶然、
ブライアン・アダムスの曲が流れる。
「振り返れば あの夏は永遠に続く気がしていた」
懐かしい声が若き夏の日を歌う。
HDOと過ごしていた頃によく聴いた曲だ。
2人で駆け抜けた日々を思い出しながら、
混み合う電車の揺れに身を任せた。