兄と話した。
約1時間。
仕事のことや思っていること。
そんなに話したのはたぶん、30年ちかく前だと思う。
そのくらいボクと兄は互いに「遠い」存在だった。
もう「家族」に戻ることは無いのかも。
時間も距離も心もあまりに離れ過ぎて、そう思っていた。
だから電話が繋がった時の兄の声の柔らかさが、
かなり意外だった。
「いろいろ大変だろ? 身体は大丈夫か?」
「ありがとう。なんとかやってるよ。アニキは?」
「オレもなんとか、な」
まだ、互いを思いやれる。
それが分かっただけで良かった。