六月は複雑だ。
世界とか世間とか歴史とかジンクスとかはまったく関係なく。いたって個人的な感覚と経験から、そう思う。
湿度が高いのが苦手。傘を持っているのが苦痛。陽が短くなり始めるのがイヤ。五月よりなぜか夏休みを遠く感じるあの辛さ。不吉な予感をはらんだ昼下がりの静けさ・・・。
でも、雨を眺めるのが好き。降り始めた雨が巻き上げる匂いも好き。雨がやんだ朝の洗われた空気が好き。あの夜、夢で聴いた曲は宝物。
そして、数少ない大切な人たちの誕生日の多くが六月。四日が二人、十日、二十一日、二十五日、二十九日。
「憎しみ 愛しさ違いはない
この胸がつぶれて溢れたものだから」
阿部芙蓉美さんは名曲「群青」で歌った。
なんか、似てるように思った。