受賞前と受賞後。
是枝監督の言葉に変化はない。
ものづくりを通じて自らが感じていることを、
ずっと訴え続けているに過ぎないのだが、
大きな賞を取ったことで注目度が上がり、色分けすらされ兼ねない状況になっている。
「最近ですね。いろんな意味で国益とか、国家とか、
ナショナリズムみたいなものがこの国全体を覆い始めて、
教育や放送というパブリックなものも
ナショナルなものに回収されていく。
そのプロセスがあからさまになり、
僕は非常な危機感を持ったわけ。
昔は裏で行われていた権力の介入が、
表立って行われるようになり、
視聴者の一部がそのナショナルなものの側に自分を重ねて、
放送を『反日』だと言い始める倒錯が起きている。
BPO(放送倫理・番組向上機構、是枝氏は放送倫理検証委員会の委員長代行)で(介入などを)間近で見てきたから、これはやばい、と。
そんなこと言わずに作れるほうが幸せに決まっているけど、
そういう状況じゃないな、って」
https://news.yahoo.co.jp/feature/1000
「平時」においても公権力とは潔く距離を保つのが正しい振る舞い。
是枝監督はそう書いた。
このインタビューでも取材者の質問にこう答えた。
「日本では、ルールがなかったり、
自覚的でなかったりすれば、
いつの間にか「大きな物語」にからめとられてしまうと?
「そう思っています。(あなたは)思っていませんか?」」
この数年、「活況」と言われる日本映画についても、
かなり以前から危機感を語っていた。
このインタビューでも、
同調圧力に負けず多様性を担保する重要性について語っている。
それについても書きたいが、
読み応えのあるインタビューなので、
ぜひ本文を読んで!(笑)