「今日ってなんの日かご存じないですよね」
昔から不思議な子だった。
なので、その程度の質問には驚かない。
「ごめん。解らないし、解りたくない」
「えぇ? も、もしかして誘ったのご迷惑でしたか?」
「3年ぶりで会ったのに、
挨拶もそこそこにそんな質問するかフツー?(笑)」
「あぁ、そうでした。ごめんなさい。
お久しぶりです。お元気でしたか?」
「いや。もういいわ(笑)」
彼女とはボランティア活動を通じて知り合った。
その後、お互い活動からは離れたが、
たまに連絡を取り合っていた。
「私の愛しい蘭丸くん、
4年前の今日が納車日だったんですぅ」
ほんわかとした雰囲気ながら彼女はスポーツカー好き。
関西出身なのだが北海道で暮らしていくことを決意し、
ランエボのファイナルエディションを購入。
で、その納車の日にボクの地元でイベントが有り、
買ったばかりのランエボで駆けつけてくれたのだ。
「あの時、お祝いに交通安全の御守を下さいましたよね。
実は、あれから毎年ここの神社へうかがっているんです」
「マジで? 今日もそれで?」
結婚か地元へ帰るか。
その2択しか思い浮かばなかったので、面食らった。
「これからも見守ってくださいね」
ランチをお茶を楽しみつつ、
最後まで意味不明なことを言い続け、
彼女は赤いランエボで颯爽と札幌へ帰って行った。