知人と連れ立って弔問へ。
「これからと思っていた矢先なので」
そう言って迎えて下さった奥様に、
かける言葉すら見つからない。
家族葬となり、取り仕切りのすべてを斎場が行うので、
ボクらはお手伝いすらできない。
「そのお気持ちだけありがたく頂きます」
先輩がとても穏やかな表情をされているのは、
ご自宅に、そして、地元に戻れたからだろう。
「病院ギライは最後まで治らなかったね」
冷たくなった額に手を合わせて言う。
「先生や看護師さんを困らせてばかりで。
半分は追い出されたようなものです」
奥様の言葉にみんなが短く笑った。