Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

彼女の決断

大坂なおみが試合を棄権したーーー。

そのヘッドラインを見て心配になり、

いくつかの記事に目を通した。

で、考えさせられた。

なかでも、テニス誌「スマッシュ」に寄せられた、

内田暁さんの記事が印象深かった。

https://thedigestweb.com/tennis/detail/id=22404?open=on

今回の棄権は、23日にアメリカで起きた事件がきっかけ。

ウィスコンシン州のアフリカ系男性が警察官に背後から撃たれた。

これまでにもアメリカでは似た事件が数多く起きているが、

今年6月にも同様のケースがあり、

それに抗議する大規模な民衆デモが開かれるなど、

緊張状態が続いていた。

そうした事態を受け、

NBAWNBAMLBなどのプロスポーツ団体が試合延期を決定。

アメリカ全土を覆う一大ムーブメントへと発展。

その動きを知った大坂なおみが、

プロテニスプレーヤーとしては初めて棄権を表明した。

以下は、彼女が投稿した内容。

「多くの方がご存知のとおり、私は明日、準決勝を戦う予定でした。

 ですが一人のアスリートである前に、私は、一人の黒人女性です」

「黒人女性として、今は私のプレーを見てもらう以上に、

 大切な問題があると感じています。

 私が試合をしないことで、

 劇的な変化が起こるとは思っていません。

 それでも、白人が主流のこの競技で対話を始めるきっかけになれば、

 正しい方向へと踏み出す一歩になるはずです」

引用元:テニス誌「スマッシュ」 2020.8.29 内田暁

人権や差別に関する事件や問題は、とても複雑だ。

今回に限らず、

現場で事件をリアルタイムに目撃した人たちの中でも、

いくつもの「真実」が存在しているはずだ。

ボクごときが言うのはおこがましい。

だが、人種差別は世界中で歴然と存在している。

そして、それが、人種を問わず、であるのが怖い。

「ネットでは、私についてこんなことばかり書かれている。

『彼女はBlasian(ブラックとアジアンを合わせた造語)なの?』。

 Blasianってなに? 私は日本人であり、黒人よ」。

16歳当時に受けた『Sports Illustrated』のインタビューで、

彼女はそう訴えていた。

引用元:テニス誌「スマッシュ」 2020.8.29 内田暁

日本ではアフリカ系アメリカ人扱い。

アメリカではアフリカ系日本人扱い。

16歳の彼女が抱いた違和感の根源は、

おそらく今でも彼女の心で消えることなく、

根強く大きく残っていると思う。