出版社のアルバイト校正係であり、
高級コール・ガールであり、
耳専門のモデルでもあるガールフレンドとの初の食事。
「羊をめぐる冒険」を読んでいて、
物語がそのあたりに差し掛かった頃、
担当医が回診へ来た。
・徐々に酸素は取り込めるようになっている
・二酸化炭素の排出はかんばしくない
そんなようなことを言って、
病室を出て行った。
サンドウィッチとコーヒーで昼飯を済ませ、
午後からは少し仕事をしよう。
声を掛けると目を開けてボクをみて、
頷いたりクビを横に振ったり。
たまに声を出して何かを話すのだが、
酸素を供給するマスクの音が大きくて、
なかなかうまく聴き取れない。
看護師さんが来た時に顔を拭いてもらおう。
で、その隙に、少し話そうね。
うなずく。
少し笑ったように見えた。