二時間、休憩なし。
開演から終演まで、すべての俳優が舞台上で演じ続ける。しかも三六〇度客席に囲まれた舞台で。
精神論としてではなく、実際に誰ひとり一瞬も舞台から消えないというのは珍しいし、それがどれだけ大変なことかは、演劇素人のボクにも容易に理解できる。
息詰まるほどシリアスなセリフ劇の緊張感は、五百人を超える満席の客にも伝わり、独特の空気が会場全体を埋めて行く。
だから、終演を迎えると安堵にも似たため息が漏れ、次に大きな拍手が湧き上がった。
再び舞台へ戻った俳優たちに最後の拍手を送り、席を立つ。と、背中に汗をかいているのに気がついた。
そりゃそうだ。「手に汗握る」どころじゃなかったもんな(笑)