「せっかくだから行こうかしら」
断られるだろうと思いつつ誘ったら、
意外にも母が食いついてきたので驚いた。
「大丈夫? 疲れてないか?」
何度も訊くボクを無視して母は上機嫌。
「私、落語を聞くの初めてだわ」
そういう意欲が残っているのは喜ぶべきなので、
連れて行った。
兄妹と孫同士を引き合わせ、
大きな役目を終えたとの安心感もあってか、
大いに笑い喜んだ。
で、家に戻ると孫たちに落語の解説を始めた。
疲れながらも楽しんでくれたようで。
親孝行らしいことができて、良かった。