あれほど熱心に本を読んだのは、
生まれて初めてだったと思う。
そして、世界(人類)は1999年の7月に終焉を迎えると、
本気で信じた。
「ノストラダムスの大予言」。
その著者である五島勉さんが亡くなられた。
今でこそツッコミどころ満載と言われているが、
当時は、小学6年生だったボクだけではなく、
日本のかなりの数の人が「予言」に怯えたはず。
その後10作に及ぶ大人気作となるシリーズの、
最初の本が発行されたのが1973年。
日本の価値観や生活様式が大きく変わった時代。
20世紀の終わりがチラホラと見え始めるも、
21世紀の在り方が想像できない漠然とした不安を、
この「予言」は直撃した。
「1999年7の月に恐怖の大王が来るだろう」
終わりに怯えながらもどこかで、
世界に渦巻く不安や穢れが浄化されるのだろうという、
奇妙な安堵が混在していたように思う。
とまれ。
1999年に世界は終わらず、21年が過ぎた。
かと言って、終焉・終末への不安は依然として消えず、
むしろ増しているとさえ感じる。
享年90歳。
旅立ちの時、五島さんの目に世界はどう写ったのか。
ご冥福をお祈りします。