「うちにも残ってるのよ、花火」
夕飯を食べながら観ていたニュースに、
おふくろが反応した。
コロナへの特別対応が終わり、
全国各地の花火大会が再開されているという。
その一方で公園や河川敷など、
公共の場での花火を禁止する自治体が多く、
夏の風景が様変わりしているのだとか。
「昔は団地の前の道路でもやったもんだけど。
公園も河川敷もダメじゃ、どこもダメね」
その声にはいくらか皮肉めいていた。
「夜中の公園で大騒ぎするヤツがいたり、
花火の煙で喘息の発作を起こしちゃう人がいたり。
目障りや迷惑って理由だけではないかもね」
「でも、そんなこと言ってたら、
誰もどこにも住めなくならない?
公園で遊ぶ子どもたちの声がうるさいって、
私にはちょっと理解できない」
いつもならそれが言い争いのゴングとなるのだが、
今日は疲れているので流した。
自分たちが出したゴミの処理場ですら、
建設に当たっては大変な反対運動が起きる。
保育園や小中学校や公園への苦情も、
同じレベルて展開されている騒動だ。
「御時世ですな」
そう言って話題を変えた。