「9:30、北へ向かう」
昨夜届いたTORさんからの短いメール。
「了解」
必要最低限の返信を送った。
そろそろオープンカーのシーズンが終わる。
今年は一緒に出掛けられなかったので、
誘ってくれたのだ。
「どこへ行きます?」
「真上に伸びる国道沿いのどっか」
気持ち良い晴れに師匠はご機嫌。
2時間ほど車を走らせた町で温泉に浸かり、
善き頃に近所の蕎麦屋さんへ。
民家に看板を掲げただけって雰囲気の外観。
玄関で靴を脱いで入った店内も民家の生活感そのまま。
でも、かなり混んでいて、店内での待ちが8名。
ボクたちの後に来た2人を最後に、
何組ものお客さんが「売り切れ」と断られる人気ぶり。
出てきた蕎麦をそのまま口に運ぶと、
しっかりしたコシと豊かな香り。
十割、手打ち、茹でたてに偽りなく、
失礼ながら意外なほどウマい。
でも、そうめん用と見紛うガラス猪口のダシは、
たぶん、いや、間違いなく市販のめんつゆ(笑)
わさびはチューブもので、薬味のネギはめっぽう辛い。
「蕎麦打ちがめっぽう上手な親戚」的な雰囲気に、
TORさんはどハマリ。
いつになくニコニコしてうれしそう。
帰りのクルマをボクに運転させながら、
何度も「俺たちのツーリング史上に残る迷店」と笑った。
何台ものバイクやオープンカーとすれ違いながら、走る。
まだ暑さが残る陽射しの中に終わる夏を。
ハッとする陽影の冷気に秋を感じながら、地元へ向かった。