Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

せつない

朝イチで亡くなった知人のお参りに。

3年ほど前に肺がんを患い闘病していた。

発覚した時にはステージがかなり進行していたそうだが、

まったくくじけることなく前向きで。

「いまさらやめたって手遅れだから」

そう言ってタバコを吸い続け、

心配する周囲を笑い飛ばした。

入院中、札幌の病院へうかがった。

何もいらないと断られたがハーゲンダッツを差し入れすると、

「これなら食える」と喜んで下さった。

後日、他の方から知らされたのだが、

その時期は投薬の副作用で味覚が無かったという。

仕事においては時に強引で、敵も少なくなかった。

だが、社員にも出入り業者にも細やかな気遣いをされる方だった。

仕事でもボランティア活動でも、

言葉にできないほどお世話になった。

枕元で手を合わせ、お顔を拝見する。

入院中よりふっくらとして血色も良くお元気に見えるが、

額に手を当てるとひんやりとしていた。

「照れくせぇから撫でんなって」

ねぇ。お願いだから。

いつものしゃがれた声で笑ってよ。