Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

れとろ

 弊社事務所の多目的机に、永らく鎮座召されておられる鉛筆削り。

「ナショナル電気 KP-20」 

 七〇年代後半? 八〇年代初頭?

 ともかく、一時流行った電動式。すでに四十路。文具としてはかなり長寿で、その存在感はなかなか。

 電動式の鉛筆削りは便利さと速さからヒット。多機能で凝ったデザインのモデルが登場し、特に子どもたちもから人気を集めたように思う。

 だが、その後、鉛筆削りはどんどんシンプルになり、一時は手動式が王座に復権した印象が強い。削り具合の調節や故障対応の難しさに加え、シャーペン普及の影響も受けたのだろう。

 六〇年代後半に生まれたボクは、小学校入学と同時に手動式を与えられ、それが丈夫でまったく壊れず。「十分使える」と電動式は却下され続けた。

 我が家に地味な電動式鉛筆削りが導入された頃には、残念ながらボクは一切勉強をしなくなっており(笑)

 そんなワケで、かっこいいデザインの電動式鉛筆削りとボクは、結ばれない運命なのだろうと思っていたが、三十五歳を越えて移住した北海道でバッタリ出会った。

 うっかりしていると捨てられそうなのだが、そんないきさつを説明するのは恥ずかしい。だから、わざわざ社員たちの前で磨いたり、写真を撮ったりして、それとなく長老文具の保護を訴えかけている。

 もちろん、鉛筆を削ったことは無いのだが(笑)