「来週の月曜には退院できるかも」
そう言って喜んで別れたのが、昨日の19時。
部屋に戻って食事やら風呂やらを済ませ、
寝たのが23時ちょい過ぎ。
夢の中でのスマホが鳴っていて、
ハッとして目が醒めた瞬間、血の気が引いた。
急いで病室に駆け込むと、
機材からのけたたましいアラーム音。
それが繋がれた義母からは、
微かに残された命の力のようなものが、
消えようとしているのが分かった。
そして、それから約10分かけて、
徐々に心拍と呼吸が落ちて行った。
「自宅で看取られたい」
本人の最期の願いを、
その大切な約束を、
叶えることができなかった。
午前2時41分。
町はまだ深い夜の中にあった。