「青森から後のことはカッチリ決めず、
なんとなくで良いんじゃない」
「GWなのに?」
「うん。大丈夫だと思う」
「まぢかぁ」
昨年もそうだったが、
KYSは行程を固めることを嫌う。
寄り道というツールングの醍醐味が、
失われてしまいがちだからだ。
昔のKYSはヤンキーで短気なくせに、
かなりの慎重派だった。
それが今や・・・。
「その言葉、そのまま返すわ。
お前、いつからそんなに計画的になった?」
蕎麦屋で鴨せいろをすすりながら、
お互いに笑う。
「なんにしても、あと1週間だな」
「おう。楽しみだ」
蕎麦屋から流れたバーのカウンターで、
オヤヂが2人してまだ見ぬ道を思い描く。
あぁ、なんと楽しい夜か。