Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

エール

予感はあった。

なので、最近では珍しく、コーヒーを飲みながら、

朝日新の朝刊を読んだ。

やはり、「新潮45」の休刊に触れていた。

「良心に背く出版は、殺されてもせぬ事」。

明治の後半、新潮社を創業した出版人佐藤義亮が

高らかに掲げた言葉だ。

今回の企画は、その良心に背いていなかったか。

少数派の人間を切り捨てる冷たさははなかったか。

引用元:朝日新聞天声人語」2018年9月26日朝刊

新潮社と朝日新聞は過去に、

従軍慰安婦報道を巡っての広告不掲載で対立したこともある。

さらに朝日新聞は同紙の慰安婦報道の検証を批判した、

池上彰氏のコラムの掲載を見合わせ批判を浴び、

判断の誤りを認めて池上氏と読者に謝罪した事がある。

https://www.nikkei.com/article/DGKDASDG04018_U4A900C1CR0000/

朝日新聞の綱領は下記のように謳われている。

一、不偏不党の地に立って言論の自由を貫き、

  民主国家の完成と世界平和の確立に寄与す。

一、正義人道に基いて国民の幸福に献身し、

  一切の不法と暴力を排して腐敗と闘う。

一、真実を公正敏速に報道し、

 評論は進歩的精神を持してその中正を期す。

一、常に寛容の心を忘れず、品位と責任を重んじ、

 清新にして重厚の風をたっとぶ。

引用元:朝日新聞綱領(1952年制定)

朝日新聞はこれまでに、この綱領に背いてはいなかったか?」

そうなじるつもりはない。

そもそも今、朝日に限らず国内大手メディアに、

言論の自由」や「公正」など期待していないので、

失望しようがない。

ただ。

極めて稀だが、ある瞬間、

「あぁ、読んで良かった」と思う記事に出くわすことがある。

それは、大手の新聞であれ、雑誌であれ、変わらない。

犯罪少年の実名を報じ、

皇太子に退位を勧めて物議を醸す。

かと思うと政治家の謎のに迫るなど気骨も見せた

執筆陣の豪華さ、

企画の自由闊達さに改めて感じ入る

引用元:朝日新聞天声人語」2018年9月26日朝刊

映画「凶悪」の原作も新潮45の記者による。

映画を見て原作を読むことのないボクが、

取り憑かれたように読んだ。

今日の天声人語は次のように締めくくられている。

惜しむべき雑誌ジャーナリズムの灯が、またひとつ消えた。

引用元:朝日新聞天声人語」2018年9月26日朝刊