「なんでもっと分かりやすく話してくれなかったんすか?」
2軒目に入った大人びたバーで、KZKが静かに逆ギレ。
いや、ヤツにしてみればきっと、
至極まっとうな言い分なのだろう。
もっと言うなら、まだそんなこと言ってんの?と思いつつ、
仕方なく付き合ってやるってる感じ。
「そのままだと自分の才能に復讐されるよ。
で、それはもう、後悔なんて言葉では表現できない、
ものすごい喪失感だと思う」
KZKに出逢ってしばらくの頃、そう伝えたのだが、
その時のヤツには、とても分かりづらかったらしい。
「あれ以上、分かりやすい言葉なんて無い!」
酔ったボクがムキになって反論すると、
ヤツはいつものように冷静に言う。
「どんなに美しい音楽も文章も言葉も、
伝わらなきゃ意味ないって言ってましたよね?
つーか、こういうおしゃれなお店で、
そんな大きな声を出したらはしたないっすよ」
キーッ! もういい!!