「なんだ、こりゃ?」
バイクを止めてヘルメットを脱ぐと、KYSが言った。
「いきなりこんな所に連れて来るか?」
PM2.5だろうか?
目前の山々は霞んでいるが、
その麓に広がる丘陵地はきれいに見えている。
「マジかぁ・・・」
ホントに驚いてくれているなら良いのだが。
確信を持てないまま、知り得る景観地を走り、
昼前に山の上の温泉へ。
ゆっくりとお湯に浸って休憩所でまどろむ。
「なんかさ、ムカつくんだよな」
突然、KYSが言う。
「こんなスゲーところ、いつでも走れるんだろ?」
「ま、そうね。地元なんで」
「許し難い。
オメーみたいに腹黒いヤツは、
渋滞と排気ガスにまみれて走るべきだろ?」
出ました。
理論の跳躍と八つ当たり。
こいつの十八番。
その後も休憩するたびに、
あーでもないこーでもないと悪態を吐きながら、
ボクらの北海道ツーリングの、
スペシャルステージ初日が終わった。