近所で最近オープンしたカフェへ。
「あら。いらっしゃいませ」
他のカフェのスタッフだった頃から、
何度もあいさつは交わしていたが、
店主となってからは初めて。
「どう? 少しは慣れた?」
「いやいや。ぜんぜんです」
手を振りながら声を上げて笑った。
彼女のそんな素振りや表情を、
これまで見たことがなかった。
「そりゃそっか。まだ2ヶ月だもんね」
先日のロックバンドのライブでも会い、
少し言葉を交わした際にも感じたが、
以前よりもイキイキとしているように見える。
そう伝えると照れ笑いした。
「以前の店も楽しかったんですけど、
今にして思えば受け身だったなぁって」
老若男女問わず、
あらゆる世代が憧れるカフェ経営。
実際、いろんな所でいろんなお店ができるが、
その多くは10年を待たずに消えてゆく。
従業員として働いていたなら、
その厳しさを肌身で感じているはずで。
彼女の覚悟が実を結び花を咲かせますようにと、
願わずにはいられない。