「どうしましょうかね?」
「どうしましょうかね? じゃなくて、
段取りしろってことだろ?」
「ま、そうすっね」
後輩のKKTは電話口でヘラヘラと笑った。
他のヤツならかなりムッとする内容だが、
KKTにはこれまで何度も助けてもらっているので、
強く出られない。
「ドイツ戦でしかも休日の22時キックオフって、
ほとんど誰も来ないだろ?」
「良いじゃないっすか。少なくたって」
21年前。
フットボール日本代表の試合を、
みんなで観戦しようと声を掛けたのはボクだった。
その当時からKKTには手伝ってもらい、
挙げ句にチームまで作ってもらった(笑)
「最初はろくに人が集まらなくて、
狭い店の小さなTVで観て大騒ぎして。
あの頃が懐かしいっすね」
その後、大きな倉庫を借りて巨大スクリーンを張り、
300人以上を集める観戦会を開催するとは当時、
誰も思っていなかった。
「あの時は大変だったなぁ」
「分かりました。段取りはさせていただきます。
店はなんとかするので、
人数だけは確定してよ」
「わかりました。よろしくお願いします」
ボクらのカタールW杯がいよいよ始まる。