不当とは何か。
それはなかなかに曖昧だ。
法に反しているならば犯罪となるし、
たとえ違法では無いとしても、
著しく妥当性を欠いていれば処罰の対象になる。
だが、そのどちらにも該当しないケースにおいて、
正当と不当を切り分けるのはかなり困難だ。
大手チェーン系の回転寿司で働くアルバイトの方が、
時給引き上げ金額を不満としてストを計画したという。
そのニュースを目にして、
労使交渉の難しさを痛感する。
「いま時給1200円だがとても見合っていない。
物価高騰で生活も苦しいので、
当然の対価として賃上げを要求しました」
要求に時給10%アップを掲げ、
昨年12月に団体交渉を始めたらしい。
店内での悪質ないたずら動画などがSNSに投稿され、
回転寿司業界は大きな被害を受けた。
その後、それを応援しようとの機運が高まり、
著名人などが店舗で食事するシーンが投稿された。
そうした流れ受け、
スシローは「全品10%オフ」のキャンペーンを実施。
それに対し今回のストを計画した組合員は不満を漏らす。
突然キャンペーンが決まった上に、
とても忙しくなったが繁忙手当もなかった。
その他にも、昇給制度はあるもののわずか5円だった。
また、人で何役もこなすという過酷な労働で、
まったく割に合わないと訴えている。
10代後半からさまざまなバイトをしてきた者として、
告発者の想いは痛いほどよく分かる。
他方で、今現在、経営に携わる者として、
承服しかねる部分もある。
従業員(労働力)無くして企業は存在し得ない。
同様に、企業無き雇用も存在しない。
どちらも欠くことのできない大切な関係。
双方の妥協点をうまく見出だせれば良いのだが・・・。