「中止にしよう」
KYSと道内ツーリングの最終打合せをしていて、
ボクは即答した。
「せっかく段取りしてもらったのに、
ホントに申し訳ない」
やたらと謝るKYSに言う。
「気にすんな。
オレらの年齢になって無理にツーリングしたら、
良くて事故。ヘタすりゃ死ぬからね」
軽くこれまでの経緯を説明すると、
計画していた往路の大洗〜苫小牧フェリーが、
発売直後に売切れ。
KYSはまたも神奈川〜青森を自走することに。
それは致し方ないとしても、
昨日、青森〜函館のフェリー予約に不備があり、
バイクを載せられないことが判明した。
「多少のキャンセルは出るだろうが、
それがオレまで回ってくる確約は無くてさ」
台風が近づいていることもあり、
今回の道内ツーリングを中止にした。
「オレはかねてから言っているが、
北海道と本州の往復はフェリーであってほしいし、
道内を走るにしたって、
夏よりも秋の方がずっとおすすめなんだよね」
「そう言ってもらえると救われるが・・・」
「大丈夫。
来週すぐに秋の有給を申請して、
フェリーを予約すれば、ただの日程変更じゃん」
「・・・・・・。
そーね。そうも言えるが、取れるかな、有給」
「それは取ってもらわなきゃ困るよ、約束だもん」
そんな冗談を言って電話を切った。
とても楽しみにしていたから、もちろん残念だ。
でも、本人には言わなかったが、
これってたぶん『啓示』だと思う。
あいつは昔っから野生の勘みたいのを持っていて、
幾度となく危機を回避してきた実績がある。
今回もきっとそんなことになる。
ホントにそう思っている。