夕方に会議を終えて帰る時、
カフェの店主から声を掛けられた。
込み入った仕事を依頼したいのだが、
手順も含めて相談に乗ってほしいと。
ただ、今夜は予定があるので、
打合せの日程だけでも決めたいという。
「そのうち会えるだろうと思ってたんだけど、
ぜんぜん来ないんだもん」
店主はコーヒーを作りながら笑う。
「オレが来る時に閉まってるだけだって。
つーか、電話くれたら良かったのに」
あいさつともじゃれ合いとも言えないやり取りはともかく、
肝心の仕事の話は確かに複雑で。
店舗のリニューアルに合わせてイベントを開催と、
けっこう大きな仕掛けになるという。
入れ替える物品の搬入設置に合わせて、
イベントやPRのタイミングを測る感じで、
その流れも含めて仕切れないかと。
弊社の関わり方は別にしても、
しっかりと段取りできる業者でないとダメ。
「いくつか候補を考えておくね」
「どこにどうやってお願いすれば良いか分からなくて。
面倒でしょうけど力を貸して下さい」
飲みかけのコーヒーを持って外へ。
すっかり暗くなった町で信号待ちをしていると、
紙コップの暖かさがうれしかった。