鳥山明さんが亡くなられた。
熱烈な、というほどではないが、
「Dr.スランプ」には驚いたし夢中になった。
絶望的に絵心が無いボクだが、
それまで知っていた多くの絵とは、
まったく違う類いものだと感じた。
古典的な絵画とは別物だし、
劇画的なタッチでもない。
とてもポップなイラストっぽく、
人物だけでなく街並みや車やバイクなどが、
すべておしゃれに見えた。
もしも一枚だけ思い通りに描けるとしたら、
こんな絵を描いてみたいなとど、
身の程知らずな幻想を抱いたのを覚えている。
子どもの頃からマンガが大好きで。
でも、両親はマンガを買うことをひどく嫌っていたので、
書店へ行っては立ち(座り?)読みしまくっていた。
80年前後にはヤングジャンプやヤングマガジンなどが創刊され、
青年、成人が読むマンガが一気に増加。
ボクの楽しみも尽きることがなかった。
記憶が定かではないが、
ボクは19〜23歳までは、
毎週欠かさずコミックモーニングを買っていたし、
朝の電車内では多くの学生やサラリーマンが、
マンガを読んでいた。
その後、ライターとして仕事をするようになり、
通勤は仕事の資料を読むか寝る時間となった頃に、
読売新聞の社説を目にする機会があった。
そこには、日本の朝晩の通勤電車内は異様だと書かれていた。
いい大人がヘッドフォンで耳を塞ぎ、
マンガを読み耽っている様は、
とても幼稚であると同時に、
他者を拒絶しているように見えると。
それを読んで思った。
世界最大規模の発行部数を誇る新聞で、
社説を書くほどの地位にあっても、
この程度の認識しかないのだな、と。
日本で誕生したウオークマンはその後、
世界の音楽業界のあり方を変えるきっかけとなった。
マンガは今や日本を代表する文化のひとつで、
世界中で人気を集め、
鳥山明さんの作品は、その象徴でもある。
つーか、恋人同士ですらためらうほどの距離で、
赤の他人と密接せざるを得ない通勤電車で、
音楽とマンガに救いを求めて何が悪い?
もっといえば、あんたがたの食いぶちである新聞を、
混み合った電車内でずっと読んでいるヂヂイどもは、
他人を拒絶しているように見えなかったのか?
アホはアホ。
宝は宝。
その記事がとても不快で、
でも、ちょっと安心したのを覚えている。
鳥山さんの訃報に接し、
素晴らしい作品に感謝すると共に、
今でもマンガが好きで良かったと心から思う。
ありがとうございました。
心よりご冥福をお祈りします。