Spiral-World

めくるめく世界での個人的な日記

終わらない夜

「ちゃんと言ってくれなきゃ分かりませんよ」

 TMMTは少しふてくされたように言った。

「この数年、ずっと話してきたと思うけどなぁ」

 ボクはトボけたようにかわす。

   勉強会では設立当時からずっと最年少であるTMMTは、弟分として可愛がられながら、とてもしっかり者で。  

   今回の件については納得がいかず、会議中からずっと質問と意見を言い続け、それは三次会に入っても収まる様子が無い。

「その落ち着いた対応、やめてもらって良いですか。ボクがゴネてるみたいな感じがして、ヤです」

    せっかくなので頭を叩いた。

「こんな感じがお好みですか?  もう二度とこんなことできないけど」

   TMMTが笑った。

「そういえば何年ぶりに頭を叩かれたかなぁ」

「な。お互いにそういう歳でも立場でもなくなったんだよ。だけど、あの会だけは昔のままで取っておくって、不可能だし無意味だと思うんだよね」

   TMMTは何も答えず、笑ってもいなかった。

   空席が目立ち始めたバーのカウンターで、そのまましばらく飲んだ。