「科学者としては、
その可能性を100%排除することはできない。
だが、知的生命体が高速電波バースト(FRB)の発生源だとは、
天文学者は誰一人として考えていない」
シュリハーシュ・テンドルカール氏の言葉が印象的だった。
太陽系がある天の川銀河の外部、
それも、はるか遠方から複数回にわたり、
連続的に放射された謎の電波が検出され、
英科学誌ネイチャーに9日、2件の研究論文が発表された。
今回観測されたFRBのフラッシュはほんの一瞬の現象だが、
太陽の1万年分に匹敵するエネルギーが放射されることも、
考えられるという。
そして、このような高エネルギーの正体をめぐっては、
今なお激しい議論が続いている。
FRBは2007年以降に60回以上記録されているが、
2012年にで観測された1例でのみ、
複数回の再発が確認されていた。
考えられる発生源として、
星形成が行われる乱流ガス雲による宇宙の激変現象や、
超新星など星の爆発といったものが挙げられる。
それだけに、連続して放射される電波バーストは特殊。
さらに重要なのは2012年と今回発見された反復FRBは、
その性質が非常によく似ていることだという。
それらの状況から、
これらの謎の電波パルスは、
宇宙のどこか別の場所に存在する知的生命体を示すものでは?
また瓶に入れられたメッセージとは考えられないのだろうか?
との質問を受けたテンドルカール氏が、冒頭のように答えた。
科学者として。天文学者として。
その立場によって、
可能性の捉え方がまったく違うというのがおもしろい。
観測機器の進歩によって検知の可能性が高まったのか?
はたまた、人類が知らぬ現象であるのか?
いずれにしても、宇宙の何処かで発生しているのは、
まさに天文学的なエネルギーの放射。
それがなんであれ、
ボクたちへの「手紙」であることに変わりはない。