「10年ぶりくらいか?」
待ち合わせ場所でMWさんと雑談しつつ、
互いのバイクをしげしげと眺めた。
「相変わらず目立つバイクを選ぶね。
しかも、ヤマハとは意外だったなぁ」
「お互いさまでしょ?
MWさんが外国車に乗るなんて思いもしなかった」
初めて一緒に走ったのは20年前。
その頃は2人とも中免でカワサキだった。
その後MWさんは大型免許を取り、
一時期ホンダの1300ccに乗った。
その翌年に大型免許を取ったボクは、
カワサキで1200ccを選んだ。
その後しばらくして、
MWさんが再びカワサキ車を買った頃から、
次第に仲間が減りはじめ、
それに伴ってツーリングのスタイルも変わって行った。
目的地に至るまでのコースと、
最初の休憩場所だけを決め、
そこまで各々が好きなペースで走る。
でも、ほとんどの場合、先頭はボク。
それはペースメーカーと言うより、
事故車や鹿やパトカー対策(笑)
で、最も運転がうまいICMRさんは最後尾で、
トラブルや事故があった時の救護役。
そんな陣形で走る機会が増え、
結果的にツーリングはハイスピード化していった。
「もうあんなに飛ばさないからね」
走り始める前にMWさんが言う。
「助かります。ボクもなので」
その言葉通り、
ボクらはゆっくりと走り始めた。