「で、どうだったんですか?」
営業会議の後、
メーカー販社の弊社担当者のSKIさんと軽く一杯。
話題はバイクのことに集中した。
「どうもこうも、楽しかったですね」
埼玉→仙台→北海道の復活ツーリングについては、
事前に報告しておいた。
「正直、苫小牧からの実走だろうと思ってました。
それだってなかなかの高さのハードルなのに、
ホントに実行するとは・・・」
SKIさんはかなりのバイク好き。
若かりし頃はサーキットでの草レースにも参加していたほど。
「復帰して走って、何が1番怖かったですか?」
「事故った時の記憶があるからか、
やっぱ右コーナーは慎重になりましたけど」
「けど?」
「そこそこの事故から7年も経っての復帰なのに、
バイクで走るのが楽しいと思ってしまっている自分が、
1番怖いっすね」
「あはははは。なるほど。分かる気がするなぁ」
「SKIさんもどう? 復帰しない?」
「いやぁ、ボクはゼッタイに無理ですね。
怖いですもん、もう」
それはバイクが好きだとの想いの強さとか、
根性の有無とかの問題では、まったくなくて。
単純に楽しみとしてのバイクが必要かどうかだ。
「ボクはハンドルからゴルフクラブに握り換えて長いし、
のんびり芝刈りしている方が性に合ってますね」
そう言って笑うが、ゴルフの腕前はかなりのようで。
人柄の良さもあり、
弊社のお客さまからの誘いが後をたたない。
「夢中になれるものって、
そんなにたくさん必要ないんですよ、ボク」
時短で早じまいの居酒屋を、まだ薄明るいうちに出た。