ISMさんが会社へ来て下さった。
いつもお世話になているので、
たまには恩返しをと思いつつ、
なかなかそのチャンスが無く。
昨年、お孫さんが産まれたので、
ちょっとした物を送らせて頂いた。
「嫁さんと娘がやたら喜んでさ。
お礼を持っていくから」
「いやいや。やめて下さい。
ボクがいつもお世話になっているお礼に贈ったんで。
そのお返しってもう、無限ループ。意味無いっす」
月曜に連絡をもらった時にそう断ったのだが、
ISMさんは時間を指定すると電話を切ってしまった。
「いいじゃん。仕事サボりたかったんだよ」
両手に紙袋を下げて登場し、
仕事のことを中心にいろんな話をした。
コロナ前なら2ヶ月に一度はお会いしていたし、
毎年6月初旬には東京での会合に乗じての、
おいしい店探訪がボクらのルーティンだった。
「今年は行けると思って、店探ししてたのに。
ホントにがっかりした」
こんな時なのだから、会合くらいガマンを。
それは至極真っ当なご意見。
だが、こんな危機的状況だからこそ、
誰かと会って繋がりを確認したくなるのもまた、必然。
「来月は札幌で飲もうね」
ISMさんは帰り際、イタズラっぽく笑った。