「早いよ。まだ準備中!」
ホウキとちり取りを持ったTORさんが、
ニコニコしながら出迎えてくれた。
「なんでバイクで来ない?」
「朝走って来たし、これ、積めないし」
バーボンのボトルと冷えたビールを手渡す。
「お! いいね。ありがと。
午前中から準備して、ノドがカラカラ」
ビールとノンアルで乾杯。
完成したばかりのスペースには、
ユーノス・ロードスターが置かれている。
ガレージの中にはくつろげるスペースがあり、
そのソファーに座りクルマを眺める。
社用車の高級セダンは屋外で待機させられている(笑)
「バイクが入った時の感じ、見たかったんだよなぁ」
「すみませんね、気が利かない弟子で。
次はバイクで来ますよ」
3人家族なら余裕で暮らせるほどのスペース。
その規模のガレージを作りながら、
メインとして据えるは初期型ユーノス・ロードスター。
さすが師匠。只者ではない。
超高級スポーツカーを買うだけならば、
ある意味、誰にでもできる。
もちろんTORさんにはその財力がある。
だが、この人はこれからもずっと、
本当に好きなクルマ以外を愛でたりしない。
壁にはこれまでコツコツと集めてこられた、
キース・ヘリングの絵。
うーむ。
似合っているし、カッコイイ。
さすが、俺の師匠だ。
おめでとうございます!