「おいくらぐらいでとお考えですか?」
電話口の男性は慣れた口調で尋ねる。
30年以上前に、工業団地として開発され、
地元の商工業者に分譲された土地について、
問い合わせがあった。
「金額的は一般的な価格でと思っていますが、
使用目的についてお聞きしないとなんとも」
「使用目的、ですか?」
不思議そうに尋ねられる。
「はい。近隣との兼ね合いもありますので」
そう答えると、
相手は丁寧に挨拶をして、電話を切った。
ニセコのみならず、
道内の土地は主に海外の方々に人気があり、
ボクの町でもけっこう買われているという。
弊社が持つ土地は更地のままで、
今後も活用の予定はなく。
できれば売却したいのだが・・・。
周辺には運輸や鉄鋼、
農作物の選果場や土木建設関連などの施設がある。
そこに住宅や宿泊施設などが作られれば、
いずれはトラブルに繋がる。
お取引下さっている企業に対し、
マイナスになることはできず。
残念ながら、今回も破断の流れ。
もどかしいけど、仕方ない。