「お忙しいだろうけど、お願いします」
看護師の女友だちYUKちゃんから電話があった。
コロナのワクチン接種を前倒しして、
今から受けてくれないか、と。
先週Web予約をした段階では、
最短が月末だったので混み合っているのだと思っていた。
「誰かを押し退けて受けるのはイヤなんだけど」
「ありがとうね。でも、真逆。
急なキャンセルがあって、
このままだとワクチンが無駄になっちゃうの」
説得されて病院へ行くと、
彼女は受付で待ってくれていた。
「不思議よね。
最初のワクチン接種の時なんて、
我先にってムキになる人がほとんどだったのに」
誰に言うでもなく、つぶやいた。
「今回は連絡無しのドタキャンがけっこうあるの。
で、その穴埋めをお願いしても、
なかなか受けてもらえなくて」
通常の接種と外来が終わり、
ガランとした病院の緊急外来室で接種を受けた。
「年度末だから仕事、忙しいでしょ?
副反応が出たら大変よね。
無理言ってごめんね」
医療現場の、しかも最前線でコロナと闘う人の、
やるせない想いに触れた気がした。