調整をお願いした万年筆が戻ってきた。
結論から言うと、調整不可。
ひどく故障しているとか部品調達などの問題ではなく、
大手販売店の特別モデルであるため、
メーカーでは調整や修理ができないのだという。
「前回は受けてくれたけど」
担当者に言うと申し訳なさそうに頭を下げる。
「昨年度に取り決めが変わったようで。
お役に立てずすみません」
箱を開けて確認すると、
本体を入れたビニール袋にインクが漏れている。
「これはどうしたんだろう?」
「あぁぁ、すみません。
輸送中に漏れてしまったんですね」
スケルトンのボディなので特に目立つ。
「ホント申し訳ありません」
「触れないのは致し方無いとして、
渡した時よりひどい状況で返すってどうかね?」
何度も頭を下げる担当者。
彼を責めても仕方ないのだが、
なんかとても不愉快だった。