このニュースの見出しがスマホに表示された瞬間、
目をそらしてアプリを閉じた。
延期されると発表された。らしい。
ニュースの本文を読まなかったのは、
心のどこかでこの事態を予感していたからだ。
井上はこれまでも何度も、
故障や不調を抱えながらリングに上がり闘ってきた。
拳に関するケガはデビュー当時から常態化しており、
ライトフライやSフライでは、
厳しい減量による体調不良を頻繁に起こしていた。
そうした問題は多くのボクサーが抱える問題だし、
井上本人も試合の前後に、
そうしたトラブルを話題にすることは皆無で、
関係者から漏れ伝わるのが常だった。
でも、今回のタイトルマッチへの挑戦が決まった時に、
ドキドキワクワクで胸が高鳴る反面、
すごくイヤな予感があった。
Sバンタムに階級を上げて減量苦からかなり開放され、
さらには今までにない強敵との対戦となれば、
これまで以上に厳しく激しいトレーニングを、
井上が自分自身に課すことは明白で。
「これまでのスピードを殺さずにパワーアップする」
試合に向けての意気込みを井上はそう語ったが、
それを実現するためには身体的に、
特に拳や肩にはかなりの負荷が掛かると推察していた。
これまでは負傷を抱えても試合回避をしなかっただけに、
今回の井上の状態は相当深刻なのではないか・・・。
試合が延期されたのは残念だが、
井上の身体が心配でならない。
どうかモンスターの負傷が軽く、
そして一日も早く完治しますように。